2009年8月号 | 西武池袋線・西武新宿線・練馬区の賃貸はハウステーションネットワーク

2009年8月 消費者契約法により更新料特約を無効とした京都地裁判決

皆様こんにちは!如何お過ごしですか?(^^)
8月に入り夏日が続いております、水分、ビタミン補給などをしっかりと行い体調管理を万全に、
暑さにまけずに夏を快適にお過ごし下さい。



今回は『消費者契約法により更新料特約を無効とした京都地裁判決(7/23)』の記事を抜粋させて頂きました。
関西の判例となりますが、ご参考になればと思います。

<概要>
原告(借主)は賃料5万8千円、保証金35万円、解約引き30万円、更新料2ヶ月分等の条件で
平成18年4月に2年間の賃貸借契約を締結しました。
20年5月8日に解約を申し入れをし、5月31日に物件を明け渡した。

<更新料特約に関する裁判所の判断>
この訴訟は敷引き特約と更新料特約について争われたものですが、
以下、更新料特約に関する裁判所の判断を要約します。

1、本件更新料特約が消費者の義務加重しているか
・借主が賃料以外の金員を支払う事は賃貸借契約の基本的内容に含まれない。
・本件更新料が賃料の補充としての性質を有しているかは後術の通り疑問。
仮に有していても、その支払い時期が早い点(民法614条参照)で借主の義務を加重している。
(民法614条は、賃料は当月分を月末に払うとの規定。)

・さらに、更新料を授受する事が慣習化していると認めるに足る証拠はない。
・よって、本件更新料は民法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、借主の義務を加重している。

2.本件更新料特約が消費者の利益を一方的に害するか
・これは、消費者と事業者の情報力・交渉力の格差に鑑める力、当事者の属性や契約内容、
そして契約条項が具体的かつ明確に説明され、消費者がその条項を理解できるものであったか等、
種々の事情を総合考慮して判断すべきものである。

・弁論の全趣旨等によれば、借主は居住用に物件を借りただけだが、貸主は貸家業を営み、
多くの借主と賃貸借契約を締結してきており、建物賃貸借に関する情報に接してきた期間に
も格差があると推認でき、両者間に情報収集力の格差がある事は否定できない。

契約期間2年に対し月額賃料の2ヶ月を支払うものである事、
法定更新なら全く金員を支払う必要がないこと事等からすると、借主にとって大きな負担となる。
中途解約権の対価との要素があり、合理性があると主張するが、
いずれも合理的理由は認められず、趣旨が不明瞭である。

・本件更新料を借主に負担させる場合は、その旨が具体的かつ明瞭に説明され、
借主がその内容を認識した上で合意される事が必要。
そうでない以上、民法1条2項に規定する基本原則(信義則)に反して借主の利益を一方的に害するものというべきである。

・仲介業者の説明があり、賃貸借契約書に「更新料賃料2ヶ月分」の記載があったため、
借主は本件更新料特約の存在を認識していた。
しかし、本件更新料特約が更新拒絶権放棄の対価、賃貸借強化の対価、賃料の補充、中途解約権の対価の要素を有することについて具体的かつ明確な説明を受けていたとは全件全焼によっても認められない。

・よって、本件更新料は特約は、法10条に該当し、無効である。


<筆者コメント>
消費者契約法の立法趣旨である「業者と消費者の間の情報力・交渉力の格差の是正」という観点から、消費者に対しては、不利な情報を早めに開示する、複数の選択肢を提示する等の対応が必要なのではないかと言われています。

そうした点からは、「証拠によれば借主は、
当該物件を選ぶ際に更新料の存在およびその額」を知りえなかった」との状況が特に気になります。
募集図面等に更新料の記載が無かったという事でしょうか。
これは貸主側に相当不利であったと思われます。


所見
このような判決が出たのは全国で初めてではないでしょうか。
関西での判例となりましたが、今後東京でもこのような事が起こるかもしれません。
今すぐになにか変わると言う事はないとは思いますが、
長期的には更新料のあり方も変化していく可能性もあるのではないかと感じます。
当社と致しましては、入居者の方々には募集時、
契約時にはしっかりと説明を行い対応さえて頂きたく思っております。

※夏季休暇のお知らせです。8月10日(月)~8月14日(金)
までお休みとさせて頂きますので宜しくお願い致します。(^^)
8月15日(土)より通常営業とさせて頂きますので、ご連絡お待ちしております。